【DIY向け】外壁塗装のおすすめ塗料は?プロが教える選び方と、失敗しないための重要知識

「我が家の外壁塗装、費用を抑えるためにDIYで挑戦してみたい」
「ホームセンターに行ったら塗料がたくさんあって、どれがDIYにおすすめなのか分からない…」
秋の絶好の塗装シーズンを迎え、ご自身の手で大切なお住まいを塗り替えたい、とお考えの方もいらっしゃることでしょう。その素晴らしいチャレンジ精神と、お住まいへの愛情に、私たちプロも心から敬意を表します。
こんにちは。株式会社ケイトホームの田中です。この記事では、そんなDIYに挑戦する皆様のために、プロの視点から「DIYで扱いやすいおすすめの塗料」とその選び方を詳しく解説します。
しかし、同時に、私たちが数多くの現場で見てきた「DIY塗装でよくある失敗」を皆様に経験してほしくない、という強い思いもあります。そのため、塗料選びだけでなく、外壁塗装を成功させるために本当に重要な知識についても、包み隠さずお伝えしていきます。
DIYを始める前に – 外壁塗装は「塗る」作業が全てではありません
まず、最も大切なことをお伝えします。外壁塗装の成功は、「どの塗料を塗るか」よりも、「塗る前に何をするか」で9割が決まる、ということです。
その「塗る前の作業」こそが「下地処理」です。これは、お料理で言えば、食材の下ごしらえにあたります。どんなに高級な食材(塗料)を使っても、下ごしらえ(下地処理)が不十分では、決して美味しい料理(長持ちする塗装)にはなりません。
下地処理には、長年の汚れや古い塗膜を落とす「高圧洗浄」、ひび割れを補修する「クラック補修」、サイディングの目地を新しくする「シーリング工事」などが含まれます。この工程を適切に行えるかどうかが、DIY塗装における最大の壁となります。このことを念頭に置いた上で、本題の塗料選びに進みましょう。
【本題】DIYで扱いやすい外壁塗料のおすすめと選び方
それでは、DIYで挑戦する場合、どのような塗料を選べば良いのでしょうか。
まずは「水性」か「油性」か?DIYなら断然「水性塗料」がおすすめです
外壁塗料には、大きく分けて「水性塗料」と「油性(溶剤)塗料」があります。プロは現場の状況に応じて両者を使い分けますが、DIYで塗装を行うのであれば、安全性と扱いやすさの観点から「水性塗料」を選ぶことを強く推奨します。
H4: 「水性塗料」と「油性塗料」の比較表
| 比較項目 | 水性塗料(DIYにおすすめ) | 油性(溶剤)塗料 |
| 臭い | 臭いが少なく、住宅地での作業に向いている。 | 刺激臭(シンナー臭)が強く、近隣への配慮が不可欠。健康への影響も懸念される。 |
| 扱いやすさ | 水道水で薄めることができ、ハケやローラーの洗浄も水でできる。 | 専用のうすめ液(シンナー)が必要。後片付けも大変。 |
| 引火性・安全性 | 引火の危険性がなく、安全性が高い。 | 引火性があるため、火気の管理に厳重な注意が必要。 |
| 乾燥時間 | 比較的早い。 | 水性よりは遅い傾向がある。 |
| 耐久性・密着性 | 近年、技術開発が進み、油性塗料に遜色ない高い耐久性を持つ製品が主流になっている。 | 密着性が非常に高く、過酷な環境や特殊な下地にも対応できる。プロ向けの塗料が多い。 |
| 費用 | 同グレードであれば、油性よりやや安価な傾向がある。 | 水性よりやや高価な傾向がある。 |
塗料のグレード別 おすすめとDIYでの注意点
次に、塗料の種類(グレード)です。DIYで扱いやすい「1液型(硬化剤などを混ぜる必要がないタイプ)」の水性塗料を前提として、グレードごとのおすすめ度と注意点をまとめました。
DIY向け塗料グレード別 おすすめ度と注意点
| 塗料グレード | DIYおすすめ度 | 特徴とDIYでの扱いやすさ | 注意点 |
| アクリル塗料 | △(部分的に) | 価格が最も安く、ホームセンターなどで手軽に入手できる。発色が良い。 | 耐用年数が5~7年と極めて短い。 紫外線に弱く、汚れやすいため、大切なお住まいの外壁全体への使用は推奨できない。物置やフェンスなど、頻繁な塗り替えが苦にならない箇所向け。 |
| ウレタン塗料 | 〇 | アクリルより耐久性が高く、塗膜が比較的柔らかく密着性に優れる。価格も手頃。 | 耐用年数は7~10年程度。 近年の主流であるシリコン塗料と比べると、耐久性で見劣りするため、次の塗り替えまでの期間が短くなることを覚悟する必要がある。 |
| シリコン塗料 | ◎(最もおすすめ) | 価格と耐久性(10~15年)のバランスが最も良い、現在の主流塗料。 DIY向けの1液型水性製品も豊富にラインナップされている。防カビ性や防汚性を備えた製品も多い。 | 種類が非常に多いため、製品ごとの性能差をよく確認する必要がある。信頼できる塗料メーカーの製品を選ぶのが安心。 |
| ラジカル制御型塗料 | 〇 | シリコンをベースに、紫外線による劣化を抑える機能を持たせた高機能塗料。シリコンよりワンランク上の耐久性(12~16年)が期待できる。 | シリコンよりは価格が高くなる。製品によってはプロ向けで扱いにくいものもあるため、DIY向けの製品かしっかり確認が必要。 |
| フッ素・無機塗料 | ×(推奨しない) | 非常に高価で、耐用年数が15年~25年と極めて長いプロ向けの塗料。 | DIYでの使用は推奨しません。 多くが硬化剤を混ぜる2液型で、調合や塗装に専門的な技術と知識が必要。施工不良のリスクが非常に高く、高価な材料を無駄にしてしまう可能性大。 |
【結論】
DIYで外壁塗装に挑戦するなら、ホームセンターや塗料専門店で入手できる、信頼できる国内メーカーの「1液型水性シリコン塗料」が、価格・耐久性・扱いやすさの全ての面で最もバランスが取れた選択と言えるでしょう。
塗料選びだけでは終わらない!DIYで後悔しないための重要知識
さて、おすすめの塗料が分かったところで、安心してはいけません。ここからが、プロとして皆様にどうしてもお伝えしたい、DIY塗装で後悔しないための最も重要な知識です。
最重要工程「下地処理」の現実
冒頭でも触れましたが、塗装の寿命は下地処理で決まります。プロは全工程の7~8割の時間をこの作業に費やすほどです。
具体的には、業務用のエンジン式高圧洗浄機でカビや旧塗膜を徹底的に除去し、ひび割れがあれば専用の工具で削ってから補修材を充填、劣化したシーリングは全て撤去して新しく打ち替えます。これらの作業を、適切な知識と道具、そして技術なしに完璧に行うことは、非常に困難と言わざるを得ません。この工程の不備が、DIY塗装で最も多い失敗原因である「数年での塗膜の剥がれ」に直結します。
「3回塗り」の原則と乾燥時間の遵守
外壁塗装は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りが基本です。
- 下塗り: 下地と上塗り塗料を密着させる接着剤の役割。
- 中塗り: 塗膜に厚みを持たせ、耐久性を確保する役割。
- 上塗り: 最終的な色と艶を出し、美観と保護機能を完成させる役割。
それぞれの工程には、メーカーが定めた「乾燥時間」があります。これを守らずに塗り重ねると、塗料は本来の性能を発揮できず、早期の劣化や剥がれの原因となります。天候にも左右されるこの時間管理は、プロでも神経を使う部分です。
安全確保の難しさ – 足場と高所作業
2階建て以上の住宅では、安全な作業のために足場の設置が不可欠です。DIYのために個人で足場をレンタル・設置するのは現実的ではなく、費用も高額です。
「脚立やハシゴでやればいい」と考えるのは非常に危険です。毎年、高所からの転落事故は後を絶ちません。不安定な足場での作業は、塗装の品質低下を招くだけでなく、命に関わる重大な事故に繋がるリスクがあることを、決して忘れないでください。
【プロの視点】DIYと専門業者、その決定的な違いとは?
DIYの魅力は、費用を抑えられることと、自分の手でやり遂げる達成感にあります。しかし、外壁塗装に関しては、専門業者に依頼することでしか得られない、決定的な価値が存在します。
H4: DIYと専門業者の比較
| 比較項目 | DIYで挑戦した場合 | 専門業者に依頼した場合 |
| 仕上がりの美しさ | 塗りムラ、液だれ、刷毛の跡などが残りやすく、プロのような均一で美しい仕上がりは非常に難しい。 | 専門的な技術と道具により、均一で滑らかな、美しい塗膜を実現。 |
| 耐久性・寿命 | 不十分な下地処理や不適切な塗装工程により、塗料本来の耐用年数を大幅に下回ることが多い(2~5年で剥がれることも)。 | 徹底した下地処理と3回塗りの遵守により、塗料の性能を最大限に引き出し、10年以上の耐久性を確保。 |
| 作業時間 | 週末だけの作業では、数ヶ月かかることも珍しくない。天候にも左右され、計画通りに進まない。 | 経験豊富な職人が効率的に作業を進め、天候が安定していれば約10日~2週間で完了。 |
| 安全性 | 高所作業での転落リスクが非常に高い。 塗料の扱いにも注意が必要。 | 労働安全衛生法に基づき、安全な足場を設置し、ヘルメット着用など、万全の安全管理体制で作業を行う。 |
| 保証 | 保証は一切ない。 失敗した場合のやり直しは、全て自己責任と自己負担。 | 工事保証(通常5年~10年程度)が付く。 施工が原因で不具合が発生した場合、無償で手直しをしてもらえる。 |
| トータルコスト | 材料費は安いが、道具一式の購入費、足場を借りる場合はその費用、そして何より失敗した場合の再補修費用を考えると、結果的に高くつく可能性がある。 | 初期費用はかかるが、長期間にわたる耐久性と保証、そして安全と時間を手に入れることができる、確実な投資と言える。 |
結論:まずは一度、プロの「無料診断」を受けてみませんか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。DIYでの外壁塗装は、確かに魅力的ですが、それがいかに多くの専門的な知識、技術、そしてリスクを伴うものであるか、ご理解いただけたかと思います。
だからこそ、私たちはご提案します。
たとえDIYで塗装すると心に決めていても、その第一歩として、まずは一度、私たちのような専門家による無料の建物診断を受けてみませんか?
プロの診断を受ければ、ご自身では気づかなかった劣化箇所や、本当に必要な下地処理の方法、そしてご自宅に最適な塗料の種類など、貴重な情報を得ることができます。その上で、専門家が作成した詳細な見積書を見ることで、「プロに任せた場合の費用」という確かな基準が手に入ります。
その正確な情報と費用を基に、「これなら自分で挑戦できそうだ」あるいは「やはりここはプロに任せた方が安心で、長期的には得策だ」と、ご自身で納得して最終的な判断を下すことができます。その判断をしてからでも、決して遅くはありません。
私たち株式会社ケイトホームは、お客様のお住まいの状態を正直にお伝えし、決して不要な工事をお勧めすることはありません。まずはご自宅の健康診断を受けるという気持ちで、お気軽にご相談ください。皆様の賢明なご判断を、私たちが全力でサポートいたします。
